全2回に渡ってお届けする「「恋愛」と「心」と「気分」の曖昧な関係」、今回は第1回です。
恋をしている時は楽しい反面、辛かったり悲しかったり、心が浮き沈みするもの。
真剣に恋をしたから真剣に悩んでいるのに、メンヘラだの恋愛依存だのと言われてしまうのはなぜ?
令和 3 年「自殺の統計(厚生労働省)」※ を見ると、年間 21,007人(原因・動機特定者 15,093 人)中の 797人が、自殺の原因・動機は「男女問題」と報告されています。メンヘラで片付けては危険な、恋愛と心の関係についてレポートします。
片思い、失恋、束縛、浮気、DV…など
悩みの原因は様々
「恋愛の悩み」といっても、その内容や度合いは様々です。
そこでOmiai Report では、1,000 人の男女を対象に「恋愛の悩み」についてアンケート調査を実施。比較的、女性のほうが恋愛で悩んでいるイメージがありますが、結果はご覧の通り。
男女に関わらず、「特に悩んだことはない」と回答した 35.6% を除く、多くの人が恋愛で悩んだ経験がありました。
その理由は「片思い(46.5%)」や「失恋(35.5%)が上位でしたが、悩みの具体的なエピソードを聞いたところ実に 93%もの方が回答し、「二股をかけられ、そんな人とは別れた方がいいのは頭ではわかっていたが、なかなか決断できなかった(26 歳/女性/会社勤務)」、「友達と同じ人を好きになってしまった(32 歳/男性/会社勤務)」、「くだらないことで怒鳴られるたび精神的に支配され、自分が悪かったと思い込み、今まで一切なかった自傷行為が始まってしまった(28歳/女性/会社勤務)」など様々。
100文字を超えるエピソードも多数届きました。
恋愛の悩み
生活に支障をきたしているなら要注意
「悩んだ時の状態(グラフ②)」と聞いてみると、食欲不振や過食(19.1%)、不眠(18.0%)、仕事や勉強がはかどらない(14.0%)など、生活に支障をきたす状態も。
また、「その悩みを誰かに打ち明けたか(グラフ③)」の問いには、「誰にも打ち明けていない」が女性 27.7% に対し男性47.4%。男性のほうが内に秘めてしまう傾向がありました。
「悩んだ期間(グラフ④)」は、短いもので 1日から 3 年以上という人まで様々。
悩みは時間が解決する、という見解もありますが、1ヶ月以上解決しない場合は、我慢せず専門家へ相談してみても良いかもしれません。他人に恋愛の悩みを話すのは勇気がいることかもしれませんが、何より代えがたいのは、心と身体の健康です。
実は男性の方が悩んでいる!
グラフ③の調査で、男性のほうが内に秘めがちという結果が浮き彫りになりましたが、「悩んだ時の対処法(グラフ⑤)」でも、人に話すと答えたのは男性 35.3%、女性 56.3%でした。
実は、冒頭の令和 3 年「自殺の統計(厚生労働省)」で、原因・動機を「男女問題」と報告されている 797人は、男性 451 人、女性 346 人という内訳があります。
今回の調査結果とあわせ見ても、女性よりも男性のほうが恋愛で悩んでいるように見てとれます。
自尊心(プライド)が高いからなのか、身の上話をしたがらないからなのか…真意は定かではありませんが、女性のほうが恋愛で悩んでいるというイメージは間違った先入観であるといえます。
調査アンケートで、「恋愛について悩んでいる人にアドバイスがあれば教えてください」とお願いすると、総数約 600 件以上のコメントが寄せられました。
「相手に依存しないように自立する(29 歳/女性/専業主婦)」、「相手は一人ではない。星の数ほど必ずいる(55 歳/男性/会社勤務)」、「恋愛を忘れて自分の好きなことに時間を使う(34 歳/女性/会社勤務・一般社員)」など、頭ではわかっていても、渦中ではなかなか上手に切り替えられないこともありますが…。
中には「とにかく泣いて泣いて涙が出なくなるまで泣いたら、案外スッキリすることもあります。でもふとした時に思い出すことがあって、また泣く、の繰り返しですね。時間もなかなか解決してくれません(49 歳/女性/医療関連の専門職)」という声も。
そういう場合はどうしたら良いのか。第2回では、心の専門家・精神科医の星野概念先生に対処法を聞いてみました。
※令和 3 年「自殺の統計(厚生労働省)」では、「自殺の多くは多様かつ複合的な原因及び背景を有しており、様々な要因が連鎖する中で起きている」とし、「遺書等の自殺を裏付ける資料により明らかに推定できる原因・動機を自殺者一人につき 3 つまで計上可能としているため、原因・動機特定者の原因・動機別の和と原因・動機特定者数(15,093人)とは一致しない」と記載。