全5回に渡ってお届けする「恋と歌謡」、最終回は恋愛ソングのこれから、、、です。
令和の人気曲も出会いの形もサブスク時代に突入!
2022 年上半期に歌われた人気の恋愛ソングを、発売時期の昭和・平成・令和に分類して集計。
その結果、各時代のデータからも感傷的な恋愛ソング=センチメンタル系が人気なのがよくわかります。もの悲しい歌詞×マイナーコードのキュンな組み合わせは今後も恋愛ソングの中心になり、日本の音楽シーンの中核を築くことでしょう。
大きな変化としては、平成から令和にかけてネット出身のアーティスト、バルーン、米津玄師、優里、YOASOBI がランクイン。時代と共に音楽の聴き方が「ラジオ→レコード→ CD」と変化して、現在はサブスク時代に突入しました。
しばらくは「ながら聴き」と相性のよい、キュン度数の高い「丸サ進行」をはじめとする「循環コード」を多用した楽曲が人気を集めそうです。
このサブスクへの流れは曲作りにも大きな影響を与えています。サブスクは 30秒で 1 再生とカウントされて著作権者に印税が入る仕組みです。
これによりイントロが短くなり、歌メロに早く突入して、曲全体も短くなりました。世界的に大ヒットしたデジタル配信曲『Butter/BTS』は、循環コードでシンプルに作られた曲で3 分を切る短さです。
このようにサブスクで音楽の聴き方、曲に変化が起きたように、実は出会いの形にも同様の変化が起きています。
恋活・婚活の救世主として利用者が急増している定額利用のマッチングアプリは「サブスク型なサービス」といえ、出会いの形もサブスクを象徴する“気軽さ”がキーワードになっています。
令和の人気曲も出会いの形もサブスクの時代に。恋愛ソングの変遷とこれからを予測したら、令和の恋愛観にもつながる結果となりました。
恋愛の苦悩がセンチメンタルな歌を渇望
キュンを軸に恋愛と歌の関係性は永遠に続く
実際に歌われているリアルなデータから紐解いた『恋に寄り添う歌謡曲』企画。日本人は昔から恋愛ソングが好きで、その中でも悲しいセンチメンタル系が人気の理由を、恋愛学と大衆音楽史の視点から調査しました。
その結果、恋愛の苦しみから解放するのがセンチメンタルな音楽であり、今も昔もキュンな恋愛ソングが音楽シーンの中心であることがわかりました。
「時代別ランキングを見ても、日本の大衆音楽史の視点から見ても、キュン度数の高いセンチメンタルな恋愛ソングが今後も主流なのは間違いありません。日本の音楽シーンにおいて、曲がヒットするには “ キュン ” 要素が最も重要なので、将来的にも揺らぐことはないでしょう」(音楽評論家・スージー鈴木さん)
キュンのポイントは、暗いイメージのマイナーコード、センチメンタルな歌詞をベースに、最近はおしゃれな雰囲気の「丸サ進行」や「循環コード」を取り入れた楽曲が若者にウケています。
今はサブスクの影響もあり「循環コード」が人気ですが、新しい聴き方や曲のトレンドが出てくると落ち着いてくることも考えられます。
10 ~50 代の世代別ランキングのテキストマイニングでは、歌詞の出現頻度が高い「君」を中心に各世代でスコアの高い言葉が周りを囲みます。10~40 代は「君」を中心に同じような言葉の配置になり、50 代だけ「離れ難い」が中心の配置に。
恋愛に憧れる10~20 代、意欲的な 30~40 代、懐かしむ 50 代と、各世代の恋愛に対するスタンスを表わしているのでしょうか。この結果からも恋愛と歌(歌詞)の密な関係性がうかがえます。
「時代によって音楽の聴き方や楽曲の作り方は変わりますが、今後も人々は恋愛のことを考えて、相手を想い、世をはかなみ、過去を懐かしんでセンチメンタルな恋愛ソングに心を寄せることでしょう。今までもそうだったように、それはいついかなる時代も変わることはありません」(音楽評論家・スージー鈴木さん)
時代は移り変わり、音楽のトレンドも巡りますが、いつの時代も恋愛と歌は密接な関係であることが調査結果からわかりました。人が恋愛を楽しみ、哀しむ限り、この深い関係性は永遠に続いていきそうです。
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▶第1回:恋と歌謡~①日本人はセンチメンタル?