2022.12.27 Omiaiレポート

恋と歌謡~④恋心を刺激するコード進行を発見

全5回に渡ってお届けする「恋と歌謡」、第4回の今回は恋心を刺激するコードについて紹介します。

椎名林檎「丸の内サディスティック」が今も若者世代を虜にする

その理由は「丸サ進行」の存在だった!

20年以上も前の恋愛ソングが、若者世代から絶大な支持を受けているのには理由があります。それは通称「丸サ進行」または「丸の内進行」と呼ばれているコード進行です。

同じコード進行を何度も循環させて弾く「丸サ進行」は「循環コード」のひとつで、おしゃれな雰囲気を演出できてキュン度数がアップします。この都会的な曲調が現在の若者世代に受けて再評価されています。

「元々は 1980 年発表の曲『Just the Two of Us /グローヴァー・ワシントン・ジュニア』が元祖です。近年はこのコード進行を取り入れた J-POP が急増中です」(音楽評論家・スージー鈴木さん)。

ここ最近では「丸サ進行」に似た進行を使った『東京フラッシュ/ Vaundy』『I LOVE…/Official 髭男 dism』『愛を伝えたいだとか/あいみょん』など、多くの人気曲が目立ちます。
若者世代には馴染みの曲調ということもあり、日本で元祖的な存在の『丸の内サディスティック』がリスペクトされているようです。

10 ~50 代に歌われている人気曲

YOASOBI の「夜に駆ける」は王道の「循環コード」でキュンを量産

カラオケで難易度の高いといわれているこの曲は、ヒット曲で多く使われている「循環コード」のひとつ「王道進行」を巧みに取り入れています。
この「王道進行」はキュンとくるメロディを作るのに重宝されているコード進行です。この「王道進行」に「丸サ進行」を組み合わせたのが『夜に駆ける』です。

「YOASOBI はテクニカルな曲を作るのが本当にうまいです。
この曲もキュンとするために考えられています。近年はこのような「循環コード」を使用した楽曲が人気ですが、音楽の聴き方も影響していると思います」(音楽評論家・スージー鈴木さん)。

最近はサブスク音楽配信サービス(定額制の聴き放題)が定着して、音楽を流しながら他の作業(ネットやスマホ閲覧等)をする「ながら聴き」が増えています。
これにぐるぐる回る「循環コード」が心地よく、作業の邪魔にならないのです。キュンに加えて、現代的な聴き方が「循環コード」を後押ししています。

▶前回:恋と歌謡~③優里「ドライフラワー」は究極のキュン曲!?

▶第1回:恋と歌謡~①日本人はセンチメンタル?

▶NEXT:恋と歌謡~⑤恋愛ソングの変遷とこれから

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