全3回に渡ってお届けする「イマドキ世代のバレンタイン」、第2回の今回は令和のバレンタイン事情についてです。
バレンタインの本命プレゼント
男女どっちからでも渡すのがイマドキ?
これまでバレンタインといえば、女性から男性へ、プレゼントと一緒に愛を告白する日というものでした。でも今はどうでしょう。
「バレンタインデーに、恋愛のきっかけとして、男性から女性へプレゼントを贈ることをどう思いますか?」(グラフ②)という質問に対し、10 代~ 20代の男性のうち 37.0%が、女性へプレゼントを贈ることに賛成していることがわかりました。
この結果は、バレンタインの新機軸といえそうです。
また、「バレンタインデーに、意中の人へプレゼントを贈ったことはありますか?」(グラフ③)という質問に対し、およそ半数の女性が贈った経験があるという結果に。
イマドキ世代の間では、男女ともにバレンタインを利用し、ひそかに意中の相手との距離感を縮めるきっかけにしているようです。
また、グラフ②からも読み解けるように、チョコは女性が送るものだという固定観念は薄れてきています。
「友チョコ」が当たり前になってきたように、今後は男性からチョコを送る習慣も一般化するのではないでしょうか。
バレンタインは「告白」の日ではない
さり気なく想いを伝える日!
「意中の人に、どのようにしてバレンタイン・プレゼントを渡しましたか?」(グラフ④)と調査したところ、「帰り際に渡した」「呼び出した」「デートに誘った」が上位で、プレゼントはなりゆきではなく、確信的に贈っていることがわかりました。
その一方、「意中の人にプレゼントを渡すバレンタインデーは、あなたにとってどのような位置づけですか?」(グラフ⑤)の調査では、1 位が「さり気なく想いを伝える機会」で 32.0%、続く「恋を実らせる機会」と「告白する機会」が15.2%で同率 2 位。
10代~20 代の意識としては、告白まではしないけど、自分の想いを相手にさり気なく伝えたり、恋を実らせるための“ジャブ(ボクシング用語で相手との距離を測るためのパンチ)”のような機会になっているようです。
今も昔もバレンタインが恋愛成就に貢献!?
「意中の人へバレンタイン・プレゼントを贈った結果、どのようになりましたか?」(グラフ⑥)と調査したところ、「交際することになった」「以前より仲良くなった」「あまり接点がなかったが、交流できるようになった」と、相手との距離感が縮まったという人の合計が 66.2%という結果に!
どうやらバレンタインデーにプレゼントを贈ることは、イマドキ世代にとって恋愛成就を含め、それに繋がる一つのきっかけになっているようです。
そうとわかれば恋愛に悩んでいる人やきっかけを作りたいという人にとって、バレンタインデーを有効的に使わない手はなさそう !?
バレンタインは男性こそ恋愛成就のチャンス !?
今回のアンケート調査を見て、バレンタインデーというものが女性のみならず、男性にとっても「大切な人に気持ちを伝える日」になってきているということは、大変良いことだと思いました。
コンプライアンスが厳しい現代において、バレンタインの贈り物が「軽いジャブ」の機能を果たし、恋愛のきっかけになっているのかもしれません。
調査結果を見て私が意外に感じたのは、バレンタインデーに男性から女性にプレゼントを贈ることを、約 4 割の男性が賛成していたことです(グラフ②)。
男性にとって「逆チョコ」は、これまでチョコを女性に贈るという習慣がなかった分、心理的な敷居が非常に高いものです。そこに逆らってまで、さらにホワイトデー(3 月 14 日)まで待たずしてチョコを贈るくらいですから、「逆チョコ」という体とはいえ、受け取る側からすれば、そこに“Love” のメッセージが込められていると思ってもいいでしょう。
また、モノに自分の気持ちを込めて贈るという行為は、直接的な聴覚による一般的な愛の告白と違って特別である分、シャイな日本人にとって有効かもしれません。
世の女性は、バレンタインデーに男性から「逆チョコ」などのプレゼントをもらうようなことがあれば、以上のことを踏まえて受け取ってください。そこには男性の、並々ならぬ思いが込められているはずですから。
早稲田大学 国際教育学部 教授
政治学博士。専門分野は日本政治、恋愛学、進化政治学で、早稲田大学では「恋愛学入門」を担当。「恋愛学」に関する著書は『一目惚れの科学』、『恋愛学で読みとく文豪の恋』、『結婚は4人目以降で決めよ』など多数。