2022.12.28 Omiaiレポート

煩悩の果てにある恋愛と結婚~②お坊さんによる恋愛法話

全3回に渡ってお届けする「煩悩の果てにある恋愛と結婚」、第2回の今回はお坊さんがお悩みに回答しています。

悩みは打ち明けることが大切!

ー好きになった相手に交際相手がいました。こういうときはどうすればいいですか?
(20 歳男性)

やはり諦めたほうがいいですよね。
よく「頑張れ」と言う人もいますが「頑張れ」という言葉は、仏教では “ 我を張る”という意味で、いわば否定の言葉。自我を成就させるいうことは我がままを突き通すということですから、この場合“頑張らない”、つまり諦めた方がいいです。

思いが伝わる可能性がないわけではないですが、交際相手を奪うには余計なエネルギーも使って面倒です。ここはすっぱり、ご縁がなかったと思えばいいんです。

ー交際相手の親が自分を認めてくれません
(27 歳女性)

“ 息子の嫁 ” に望むことがあると思うので、そこに自分が近づけるのであれば努力した方がいいです。
でも社長令嬢じゃなきゃだめとか、高学歴じゃなきゃ認めないなど、これから時間をかけてもどうにもならないことを望んでいる場合は諦めた方がいいかもしません。

ただここでいう“諦め”というのは、彼と別れるということでなく、相手の親に認められることを諦めるということ。
交際相手は認めてくれているわけですから、彼にフォローをしてもらいつつ、お付き合いしていくのがいいかもしれません。でも親子って似た者同士ですし、少なからず同じような思想をもっていますから、彼が親に加勢するようなら、これもご縁がなかったということで。

ー相手が浮気しています。すぐに別れたいですが、私の年齢のこともあり両親に止められています
(27 歳女性)

浮気されるということは、一つの学びもあると思うんです。
だから別れるにしてもすぐに別れず、なぜ浮気されたのかを探求し、大きな学びを得た後に別れてもいいでしょう。学ばない限り次にお付き合いをする相手に対しても不信感を抱きますから。仏教界において浮気は戒律で禁止されています。

不邪淫戒(ふじゃいんかい)という戒律がありまして、これは邪淫(じゃいん=よこしまな性行為)で、誰かを傷つけてしまうという。浮気をすること自体、決して褒められることではありません。あなたの人生ですから、この際ご両親の意見は無視してもいいのでは。

ーいつも良い別れ方ができない
(29 歳男性)

これは難しいと思います。
ただ相手に執着されたり恨まれても、こちらは態度を変えず「今までありがとう」という感謝の気持ちを持ちたいですね。

結局、「娑婆(シャバ)」という泥臭い世界で生きていくのに執着は絶対に必要なのです。ではどうすればいいのかと言えば、お釈迦さんが語っている、極端な考えをもたない、偏らない「中道(ちゅうどう)」という考えがあるのですが、これを意識することです。
つまり執着しすぎないし、しなさ過ぎないっていう。ただまあ、これができれば苦労しないんですけど(笑)。

ーフラれた相手をずっと忘れることができません
(32 歳女性)

こういう相談をよく受けますが、無理に忘れないで大丈夫です。
忘れられないと思い込んでいるだけで、忘れている時間は 24 時間のうち必ず数秒間はあります。その数秒が段々と長くなっていくんです。

忘れていた瞬間「あ、いま忘れていたな」ということに気づくことが大事。「手放す」という行為は無理やりだと苦しいですが、実は自然に手放せているわけですから。仏教的な観点から申し上げて、なるべく自然に忘れられる方法としておすすめなのが掃除や断捨離です。
徹底的に「捨てる」という行為は効きます。物理的なものを捨てるうちに精神的なものも捨てている感覚になるんです。

失恋した女性が髪を切るという話がありますが、あれも実は理にかなった行為なのです。逆に良くないのは座禅や瞑想。これをすると逆に、未練がましいことばかり考えてしまいます。


藤岡善信(ふじおか・よしのぶ)

浄土真宗本願寺派僧侶・坊主 BAR 店主。
岡山県出身。幼少の頃に母親が出家し、熱心な信仰者の祖母に引き取られ、そこで念仏のご縁を授かる。
vowz-bar.jp

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